金属加工で使用されるアルミ合金の種類と特性まとめ
今回は、金属加工で使用されるアルミ合金の種類をその特性と合わせてご紹介します。
アルミ材の多くは、A1050やA2017のようにアルミを表すAと4桁の数字で表されます。
特に千の位の数字によって大きく合金の種類が分けられるため、今回は1000番台から7000番台までを順番にご紹介します。
「アルミの板金部品を使いたいけど、どのアルミ材を使えばいいかわからない」
「この製品に最適なアルミ材が知りたい」
という方は、ぜひご参考ください!
1000番台~純アルミ系~
1000番台は化合物をほとんど含まない、純度99%以上の純アルミニウムです。
電気伝導性や熱伝導性、耐食性に優れているのに対し、強度はあまり高くありません。
A1050
1000番台の中でも、最も一般的な材料です。
アルミの純度は99.5%以上。
加工性と表面処理性に優れており、耐食性は1000番台の中で最も秀でています。
対して強度はあまり高くないため強度を求める製品の場合は、補強を加える、または他のアルミ材を使用するのがおすすめです。
A1085
1000番台の板材規格のアルミ材の中で、最も純度の高いアルミ材です。
アルミの純度は99.85%以上。
アルミの耐食性は純度に比例するため、A1085は耐食性が最良なアルミ材です。
2000番台~AlCu系~
2000番台は銅(Cu)を多く含んだ、アルミニウム合金です。
鉄鋼材料に匹敵するほど強度が高いのに対し、銅を多く含んだことにより耐食性は高くありません。
そのため耐食性を補うために、アルマイト処理を施す場合が多いです。
また溶接割れが発生しやすいデメリットもあります。
A2017
2000番台の中で最も一般的なアルミ材で、ジュラルミンの名称で知られています。
切削加工性に優れているのに対し、溶接加工性は他のアルミ合金に劣ります。
またA2017AはA2017よりもさらに強度を上げたアルミ材で、耐食性はさらに低くなります。
A2024
A2017(ジュラルミン)よりもさらに強度の高いアルミ材で、超ジュラルミンの名称で知られています。
強度や切削加工性がジュラルミンよりも高くなったのに対し、耐食性はジュラルミンよりもさらに劣ります。
3000番台~AlMn系~
3000番台はマンガン(Mn)を多く含んだ、アルミニウム合金です。
1000番台の純アルミ材よりも高い強度を持ち、その上耐食性や加工性も純アルミ材と同等に優れています。
A3003
3000番台の中で最も一般的なアルミ材で、純アルミ材よりも強度が若干高いです。
4000番台~AlSi系~
4000番台はシリコン(Si)を多く含んだ、アルミニウム合金です。
熱膨張率の低さと摩耗耐性の高さが特徴で、また他のアルミ材に比べ融点が低いです。
A4032
4000番台の中で最も一般的なアルミ材で、熱膨張率の低さと摩耗耐性の高さが特徴です。
5000番台~AlMg系~
5000番台はマグネシウム(Mg)を多く含んだ、アルミニウム合金です。
溶接性の高さが特徴で、またマグネシウムの含有量によって強度が変わります。
A5052
5000番台の中で最も一般的なアルミ材で、中程度の強度を持ち、耐食性・成形性・溶接性に優れた便利な材料です。
6000番台~AlMgSi系~
6000番台はシリコン(Si)とマグネシウム(Mg)を多く含んだ、アルミニウム合金です。
5000番台よりも優れた強度と耐食性が特徴。
しかし溶接性にはあまり優れていません。
A6063
6000番台の中で最も一般的なアルミ材で、耐食性と表面処理性に優れています。
プレス加工で頻繁にしようされるのに対し、板金加工ではほとんど使用されません。
7000番台~AlZnMg系~
7000番台は亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を多く含んだ、アルミニウム合金です。
熱処理を行うとアルミ合金中で最大の強度を誇るアルミ材です。
A7075
7000番台の中で最も一般的なアルミ材で、超ジュラルミンよりも高い強度を持ち、超々ジュラルミンの名称で知られています。
対して耐食性は弱く、使用する際には何かしらの対策が必要です。
まとめ
今回は金属加工で使用されるアルミ合金の種類とその特性をご紹介しました。
アルミは合金の種類が多く、それぞれメリットとデメリットがあるため、製品の用途に合わせて適切なアルミ材を選ぶことが大切です。
また全てのアルミ合金において
・熱に弱く歪みやすい
・酸化皮膜が溶接の妨げになる
・溶接割れが起こりやすい
などの特徴から、溶接に高い技術が求められることが知られています。
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